この記事の体験談について金融機関全体がPCを使わない、という話ではありません。僕が担当した業務では、クラウドでの共同編集や短時間での資料作成、複数ツールを行き来する仕事が少なかった、という個人の経験です。

金融機関でもPCは使っていました。ただ、決められた社内システムへの入力や定型業務が中心で、Excelで数字を組み替えたり、PowerPointで提案のたたき台をすばやく作ったりする機会は多くありませんでした。

SaaS企業へ移ると、メール、チャット、オンライン会議、CRM、クラウド資料が同時に動きます。営業経験は持っていけても、仕事を処理する速度は一度落ちました。

最初に差を感じた7つの場面

場面困ったこと先に練習できること
表計算関数以前に、並べ替え・フィルター・集計の速度が遅い顧客一覧を作り、条件別に集計する
資料作成ゼロからきれいに作ろうとして時間がかかる1枚1メッセージで構成を先に作る
チャットメールと同じ長さで書き、確認に時間がかかる結論・背景・依頼・期限の順で短く書く
CRM・SFA入力を事務作業と捉え、更新が後回しになる次回行動、期限、決裁者を商談直後に残す
共同編集最新版がどれか分からず、ファイルを複製する共有、コメント、変更履歴を使う
オンライン商談画面共有しながら会話とメモを両立できない資料、メモ、参加者画面の配置を決める
ショートカット小さな操作の積み重ねで仕事が遅くなるコピー、検索、画面切替などから覚える

「Excelができます」では、できる範囲が伝わらない

求人票の「基本的なPCスキル」は幅が広すぎます。文字入力ができることを指す会社もあれば、集計表や提案資料を自分で作れることまで含む会社もあります。

面接では、ツール名だけでなく作業を確認した方が具体的です。

  • 営業資料は誰が、どのツールで作っていますか
  • 売上や案件の集計は営業自身が行いますか
  • CRM・SFAには何を、いつ入力しますか
  • 社内連絡はメールとチャットのどちらが中心ですか
  • 入社前に触れておくとよいツールはありますか
選考中に聞きにくい場合最終面接や内定後の条件確認でも構いません。知っているふりをして入社するより、必要な準備を具体的に聞く方が現実的です。

転職前は、資格より「仕事を1回通す」

資格が役立つ場面はあります。ただ、僕が先にやればよかったと思うのは、架空の顧客データを集計し、その結果から提案資料を作り、3分で説明するところまで通す練習です。

  1. 表計算ソフトで顧客一覧と案件一覧を作る
  2. フィルターや簡単な関数で優先顧客を絞る
  3. 結論、根拠、次の行動を3枚の資料にする
  4. オンライン会議を立ち上げ、画面共有して説明する
  5. 商談メモを要約し、次回行動をCRM風の表へ残す

一連の動作ができれば、苦手な場所が具体的に分かります。講座を選ぶ場合も、「PC全般を学びたい」ではなく、表計算、資料作成、オンライン商談など目的を絞れます。

AIを使う前に、会社の利用ルールを確認する

生成AIは、文章の下書き、商談メモの整理、提案の論点出しに使えます。一方で、顧客名、個人情報、未公開情報を外部サービスへ入力してよいとは限りません。転職先の利用可否、入力禁止情報、承認済みツールを先に確認します。

まとめ:営業経験とツール経験は分けて棚卸しする

同じ営業職でも、会社が変わると道具と仕事の流れは変わります。ツールを知らないこと自体より、分からないままにして処理速度が落ち続ける方が苦しくなります。転職前に全部覚える必要はありません。使う場面を確認し、ひとつの仕事を最後まで通す練習から始めれば十分です。

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